ブラッグの法則とは、結晶のような規則正しく原子が並んでいるような物質に波長の短い光を照射させると、どの方向から光を当てるかによって、反射する光が強めあったり弱めあったりする現象です(具体的には 2dsinθ=nλ を満たすとき強めあう)。ブラッグの法則は、X線回折(XRD)に用いられるなど、元素解析をする人にとって大変重要な法則になります。今回はこのブラッグの法則についてわかりやすく解説していきたいと思います。
まず上のような構造の結晶に波長λの光をブラッグ角θで照射することを考えます。ブラッグ角は入射角とは異なるので注意。このとき、光は、結晶の第一面、第二面、第三面・・・・で次々と反射していきます。では、これらの反射した光がそれぞれ強めあうことが出来るのはどのような時でしょうか。光は電磁波という波の一種で、波は位相がそろうときに強めあうことが出来ます。なので、左下の画像のように、隣り合う面との光路差(進んだ経路の差)が波長の整数倍になれば、強めあう事ができ、逆に、右下の図のように、光路差が波長の整数倍になっていないと、波が打ち消しあう事になってしまうということです。これを式で表したのがブラッグの法則で、光路差=波長の整数倍より
ブラッグの法則:2dsinθ=nλ となります。
ちなみに2dsinθ=nλにおけるdは格子面間隔(原子間の間隔)で、例として食塩を上げると、0.56nmです。よって、食塩の場合、2dsinθは1.12 nm以下と、非常に小さい値を持つことが分かります。よって、等式が成立するためには、λも非常に小さい値を持たなければなりません。これがブラッグの法則を用いるときに可視光よりも波長の短いX線を用いる理由です。
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